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コラム

事業承継の財務サポートなら中小企業庁へ

事業承継をお考えの方、若しくは将来的に必要であると考えている方に向けて、今回は中小企業庁に焦点を当てていきたいと思います。

中小企業庁には、事業承継に関するガイドラインや支援策など様々な情報、制度があります。

しかし、「中小企業庁」はお堅い感じがしてしまうのか、経営者は敬遠しがちです。

少しでも中小企業庁について理解が深まり、利用してみようと思えるように紹介していきます。

事業承継とは

事業承継とは「あなたが経営している会社を後継者へ引継ぐこと」をいいます。

これまでに培ってきた技術やノウハウ、優秀な従業員を後継者不在のために、すべて無に帰してしまうわけにはいきません。そのためにも誰を後継者にして会社を託すのかは重要な問題になります。親族に会社を継ぐ意思があれば理想ですが、そうはいかないのが現状です。後継者を決めるだけでなく、会社経営のノウハウなど育成も必要となるため時間がかかります。出来るだけ早い段階で後継者を決めておくといいでしょう。

中小企業庁とは

日本の行政機関の一つであり、名前の通り、中小企業の育成・発展のために助言、サポートをしてくれる経済産業省の外管です。

経営方法の改善やアドバイス、取引の適正化、円滑な資金の供給などの業務があります。この中の財務サポートとして、事業承継に関する情報の提供、アドバイスなどの支援をしてくれます。圧倒的な情報量を誇り、様々なデータが揃っていますので、後継者への引継ぎに際して大きな助けとなってくれることでしょう。

中小企業の現状

日本の企業の約99%が中小企業であり、国内の社会経済を支えてきました。また、中小企業に在籍する従業員数も全体の約70%を占めており、中小企業の重要性がよく分かると思います。

現在の日本が先進国として世界に知られているのも、中小企業が積極的に新しいことに挑戦してきたことも事実です。

そんな勇猛果敢に挑んできた中小企業の経営者の高齢化が進み、中小企業の存続が危ぶまれているのが現状です。

これを打破するためにも「事業承継」は積極的に行っていかなければならないものであり、企業の事業承継をサポートする機関も必要とされます。

後継者確保が難しくなる一方、少しでも多くの中小企業を残すべく様々な支援策が考えられ、施行されています。

事業承継の流れ

事業承継の進め方には5つのポイントがあります。

【事業承継の準備の必要性】

後継者の不在は家族の問題であるという認識が強く根付いています。そのため、外部の人間に相談することを嫌がる経営者がとても多いです。

そのため事業承継に向けての準備が遅すぎたために手遅れになってしまうケースも多く、注意が必要です。

事業承継には時間がかかるため、経営者が60歳ごろには準備を始めたほうがいいとされています。身内で問題を抱えずに専門家に相談しましょう。

【経営状況・課題の把握、又は見える化】

いざ専門家に相談したからと言って、すぐに問題が片付くわけではありません。

少しでも早く事業承継を行うためにも、経営状況や経営課題、経営資源などを見える化することで、企業価値を分析することが出来ます。そこから事業承継を円滑に行うための課題を浮き彫りにします。

【事業承継にむけ、経営の磨き上げ】

後継者に事業を引き継ぐタイミングは、事業を飛躍的に発展させる絶好の機会ともいえます。そのため、経営者は後継者に引継ぐまでは、事業の維持と発展に尽力しなければならないとされます。親族内承継の際の相続税対策に重点を置き、事業とは関係のない資産購入や節税目的の特殊会社設立によって株価を意図的に低下させてしまうといったやり方で、事業の維持と発展にそぐわない手法が多々見られるからです。

企業の維持・発展には企業の強みを伸ばし、弱みを改善することで同業他種との競争力の強化、経営体制の見直し、経営強化への取組などに力を注ぎましょう。

【事業承継の計画策定or M&A等のマッチングの実施】

親族、従業員への事業承継の場合の計画策定、社外への事業引継ぎの場合のマッチングの実施といったように、事業承継の対象によって対策は変わっていきますが、基本的に行うことは変わりません。分析、整理、計画、実行の順に現状を見直しながら進めていきましょう。

どちらの工程でも専門家の助力を得ることが望ましいです。

事業承継アドバイザーの資格所持者にお願いしたり、社外への引継ぎの場合はマッチングの仲介会社にお願いしましょう。

【事業承継の実行】

上記の4ポイントを踏まえ、問題を改善しながら実行します。後継者は現経営者のやり方すべてを真似するのではなく、今の時代の変化にしっかりと対応しながら、新しい手法を模索していきましょう。

中小企業庁の支援策

中小企業庁では、主に中小企業・小規模事業者に向けて事業承継の支援を行っています。

経営者の高齢化が進んだ昨今では、後継者不足による事業の撤退・廃業の危機も危ぶまれています。これを回避するためにも事業承継の前後で切れ目のない支援策を実施する必要があり、親族内の事業承継だけでなく、第三者による承継についても支援をしています。

事業承継に伴う税軽減や民法上の遺留分対応など、事業円滑化の総合的支援策を「事業承継円滑化法」として整備し、これに関して3つの措置を講じています。

【事業承継税制】

事業承継にかかる税負担により事業継続に支障をきたすことを防止するため、都道府県知事の認定等を前提に納税の猶予・免除を行ったり、贈与・相続税の納税猶予・免除の制度などの支援をしています。

【遺留分に関しての民法特例】

事業承継において、先代経営者と後継者との間で遺留分に関わる紛争の抑止策が講じられています。これにより、後継者に非上場株式や事業用資産を集中させ、事業継続の円滑化を図ります。

【金融支援】

事業承継を行うには、様々な資金が必要になってきます。

これにより、事業の引継ぎが思うように進まないことも多々あります。

対する支援策として、特定の条件の下、融資と信用保証の特例によって支援をします。

各種補助金

中小企業庁では、事業承継に関する補助金の紹介も行っています。

事業承継を契機として企業の設備投資や販路開拓などの支援のために必要な費用を補助する「事業承継補助金」と新型コロナウイルスの影響下の中でも従業員や技術などの経営資源を引き継ぎ、供給連鎖を維持することを目的に「経営資源引継ぎ補助金」の二つに分けられていましたが、現在では一本化され継続しています。

こういった補助金だけではなく、事業承継の早期準備や後継者選定、M&Aに関するマッチング・情報など経営者に向けて事業承継の「気づき」を促すために、事業承継ネットワークと事業引継ぎ支援センターを設置しています。

(この二つも統合され、事業承継の円滑化の体制見直しがなされます)

事業承継自己診断チェックシートをやってみよう

ここまでで事業承継について中小企業庁の支援策を紹介しました。経営者の方は、事業承継についてどこまで準備が出来ているかを中小企業庁の「事業承継ガイドライン」にのっているチェックシートで確認してみましょう。

事業承継自己チェックシート

Q1.事業承継計画を策定し、中長期的な目標やビジョンを設定して経営を行っていますか? はい いいえ
Q2.経営上の悩みや課題について、身近に相談できる専門家はいますか? はい いいえ
【以下の3つからあてはまる設問へお進みください】

・私には後継者がいる(子供、親族、従業員)…☆へ

・私には後継者にしたい候補がいる(子供、親族、従業員)…Q6~Q7へ

・私には後継者がいない…Q8~Q9へ

☆.後継者に対し、将来会社を託すことを明確に伝え、後継者として事業を引き継ぐ意思を確認しましたか? はい…Q3~Q5へ いいえ…Q6~Q7へ
Q3.後継者に対する教育・育成、人脈や技術などの引継ぎ等の具体的な準備を進めていますか? はい いいえ
Q4.役員や従業員、取引先など社外の関係者の理解や協力が得られるように取り組んでいますか? はい いいえ
Q5.法務面や税務面、資金面などについて将来の承継を見据えた対策を進めていますか?

はい いいえ

Q6.後継者の正式決定や育成、ご自身の退任時期の決定など、計画的な事業承継を進めるために必要な準備期間は十分にありますか? はい いいえ
Q7.後継者候補に承継の意思について打診をする時期や、ご自身がまだ打診をしていない理由は明確ですか?(候補者が若く、打診するには早すぎる 等)

はい いいえ

Q8.第三者に事業を引き継ぐ場合(企業売却・事業譲渡等)の相手先の候補はありますか?はい いいえ
Q9.企業売却・事業譲渡等の進め方についてご存知ですか? はい いいえ

診断結果

Q1・Q2で、1つ以上「いいえ」と回答した方

事業承継を円滑に進めるには、長い時間を要します。早期着手の重要性を理解し、事業承継に向けて現状の把握を進めましょう。

Q3・Q4・Q5で、1つ以上「いいえ」と回答した方

円滑に事業承継を進めていくために、事業承継計画の策定による計画的な取り組みが求められます。

Q6・Q7で、1つ以上「いいえ」と回答した方

企業の存続に向けて、具体的な事業承継についての課題の整理や方向性の検討を行う

必要があります。

Q8・Q9で、1つ以上「いいえ」と回答した方

「事業引継ぎ支援センター」にご相談ください。

以上、事業承継に関して、中小企業庁が行っている支援策やガイドラインの紹介、事業承継についての理解と早期準備の重要性について述べてきました。

後継者の不在問題は年々増え、大きな問題となる日も遠くはないでしょう。

経営者の方には先の将来を見据えた事業承継計画を行い、事業の発展に尽力して頂ければと思います。事業承継に関してお困りの際は、個人で悩まず、専門家、中小企業庁へ相談をしましょう。

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