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事業承継アドバイザーになるための資格とメリットを紹介

事業承継アドバイザーは、事業承継に悩んでいる中小企業経営者にアドバイスを行う専門家のことをいいます。

中小企業の経営者に後継者がいない場合、M&Aや事業を引き継いでくれる相手(企業や後継者)を探す等、経営者が安心して任せることが出来るように事業承継のアドバイスを行うのが、事業承継アドバイザーの役割です。

事業承継アドバイザーを必要とする理由

現在、日本では後継者がいないために問題を抱えている中小企業は全体の50%以上だと言われています。これは、およそ120万社を超える数字で、多くの人が事業承継の問題に直面しています。

事業を引き継いでくれる人を探す手段が分からず、不安を抱える経営者をサポートしていくために、事業承継アドバイザーは事業に関する法務・税務・企業価値評価・戦略的な事業承継対策などの知識を身に着ける必要があります。

また、資格を有していないと「事業承継アドバイザー」を名乗ることはできません。

事業承継コンサルタント

事業承継コンサルタントとは、事業承継アドバイザーや事業承継士などの資格を有した専門家です。

事業承継アドバイザー=事業承継コンサルタントという認識で問題ありません。

主な業務内容は事業の状況、将来的な展望、後継者の有無などの情報を集め、まとめる事業承継計画策定のサポ―トです。

経営者の所有する自社株などの資産を把握し、引き継ぎのための対策を立てます。

後継者不在の場合、M&Aの紹介先を探します。また、事業承継に必要な資金調達もします。

このように経営者の一時的な右腕として、事業承継に関する計画、選定、実行のサポートをするのが仕事になります。

事業承継アドバイザーに必要な資格と概要

事業承継アドバイザーには3種類あります。違いは試験の出題内容と運営している団体が異なることが主に挙げられます。

それぞれ詳しく紹介していきます。

事業承継アドバイザー認定試験(BSA)

3種類の資格の中では、一番よく知られている試験です。運営団体は「金融検定協会」です。金融機関に属する職員に向けて運営されていて、金融機関職員の事業承継に関する能力向上を目的に設立されました。

受講料として7,400円かかり、年に2回(5月と11月)行われています。

出題範囲は大きく3つに分かれています。

  1. 事業承継の基礎知識(中小企業の事業承継と金融機関の関与・事業承継の類型と対応策の概要・事業承継の進め方・企業の価値評価・事業承継と外部連携・事業承継と金融機関のコンプライアンス)
  2. 親族内承継(親族内承継の概説・自社株承継の法務・自社株承継の税務・自社株承継対策の方法・戦略的承継の方法)
  3. 従業員・役員・外部への承継とM&A(事業承継M&Aの概要・M&Aの基本的な手順・役員、従業員への承継(MBO、MEBO)・金融機関の取り組み・事業承継M&Aニーズへの対応等)

出題方法は五答択一式の50問、100点中60点以上が合格基準とされています。注意したいのが「試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定する」という但し書きです。全受験者の出来如何によっては、合格基準が上下する可能性が高いと考えられます。試験の平均合格率は約6割程度となっています。

事業承継アドバイザー3級試験

事業承継アドバイザー3級試験は2016年に新設されたばかりのため、毎試験の難易度がバラバラなのが特徴です。各種銀行業務検定試験を運営している経済法令研究会が運営。銀行員の事業継承に関する相談の対応力向上を目的として設立された資格試験になります。

受講料は4,400円で、年一回の10月に行われます。

出題範囲は以下になります。

  1. 事業承継の基本知識(事業承継対策の基本と必要性・承継方法の決定と計画の立案・後継者教育)
  2. 事業承継と金融実務(取引先の現状把握と課題の認識・各承継方法共通の基本知識・親族内承継に係る基本知識・親族外承継(従業員)に関わる基本知識・親族外承継(第三者)に関わる基本知識等)
  3. その他関連知識等(他の金融機関の事業継承関連の制度等・事業承継に関わるコンプライアンス)

出題方式は四答択一式(一部事例付き)50問、100点中60点以上が合格基準目安となり、合格率は30∼50%程度のばらつきがあります。

金融業務2級試験

金融業務2級試験は様々なコースがあり、事業承継アドバイザーを目指す場合は金融業務2級「事業承継・M&Aコース」を選択しましょう。

受講料は7,700円となっていて、会場型コンピューター試験(CBT)で一年に数回受験することが出来ます。

出題範囲は以下になります。

  1. 事業承継関連税制等
  2. 事業承継関連法制度
  3. M&A基礎知識・関連会計
  4. M&A関連法制等
  5. 総合問題

出題方式は四答択一式30問、100点中70点以上獲得すれば合格となります。過去問と似た形式で出題されることが多いのが特徴です。

おすすめの資格と勉強方法

3つの資格を紹介しましたが、事業承継アドバイザー認定試験(BSA)は一般的な認知度も高く、事業承継アドバイザー=BSAというイメージが強い上に試験自体の難易度も高くなく、合格率も高いのでおすすめをしたいです。

各資格試験の勉強方法ですが、出題方法や内容が各試験で違っており、独自問題なども多く出題されます。そのため各試験専用の問題集を揃えることが効率的な勉強方法になります。

時間的に余裕があるのであれば、通信講座を受講するのもおすすめです。

過去問を重点的に行い、内容を理解していくことで、幅広い問題に対応することが出来るようになります。

また、事業承継アドバイザーの資格を持っている方が主催する講義を受けるのもとても勉強になります。実務経験を積んだ話は大いに聞く価値があります。

事業承継アドバイザーのメリットは?

事業承継アドバイザーの資格取得のメリットは、信頼性と知識の二つです。

事業承継への不安を抱えている経営者の方に安心感を与えるのに資格を提示できるのは意味が大きいでしょう。

また、事業承継に関する業務には税制や法律関係の内容が多く含まれていますので、知識を持っていて損なことは一切ありません。

出来る限りたくさんの知識をつけることは、事業承継アドバイザーとしての活動の幅を広げていく上でとても重要になります。

事業承継アドバイザー以外におすすめの資格

事業承継アドバイザーを名乗るには、上記で紹介した3つの資格のうち一つを取得することで問題ありません。ここでは、その他に取得しておく(知識をつけておく)と役立つ資格をご紹介します。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーとは、相談者の目標や夢を実現させるために、経済環境や収支状況などを踏まえた資金計画を立て、導いていく専門家です。

3級、2級、1級の3種類あり、3級は比較的難易度が低いため、人気のある国家資格になります。

3級には相続・事業承継についての内容が含まれています。

事業承継士

名前の通り、事業承継のスペシャリストです。事業承継士の資格取得条件は「一般社団法人事業承継協会が認定した国家資格を保有している人もしくは同等の知識を有する人」とされています。条件をクリアしている国家資格は、弁護士や公認会計士、司法書士などです。

事業承継に関するものだけでなく、幅広い専門知識を必要とするため細かく条件を設けています。受講条件が厳しいため、難易度自体はそれほど厳しいものではありません。

相続手続カウンセラー

相続に関するスペシャリストを証明するのが相談手続カウンセラーです。高い水準を維持するために有資格者へのサポートが充実しています。

相続手続カウンセラーに認定されると以下のメリットがあります。

・名前の前後にSCという表記が許される。

・シニア相続手続カウンセラーの受講資格が付与される。

・ビジネス会員になれる(初年度無料、次年度より年間11,000円)

その中でも特におすすめしたいのが、ビジネス会員です。

相続手続カウンセラーのビジネス会員では、レベルの高い教育を継続的に受けることが可能で、7つの特典が付与されます。

  1. ビジネス会員が開催するセミナーに優待参加が出来る。
  2. 相続に関係のある研修会に優待参加が出来る。
  3. 相続・カウンセリング関連の役立つ本を毎月1冊紹介してくれる。
  4. 動画配信で、専門分野、周辺知識を習得することが可能。
  5. メルマガで相続関連の最新情報を配信してもらえる。
  6. 相続情報誌を毎月もらえる。
  7. 無料電話コンサルティングが利用可能。

現場の生の声と最新の情報は、有資格者のスキル向上に大いに役立ちます。

3つの事業承継アドバイザーとして役立つ資格を紹介しましたが、取得を強制するものではありません。知識として役に立ったり、資格を所持していると顧客の信頼を得やすいために余裕があれば取得をおすすめします。

事業承継アドバイザーまとめ

以上、事業承継アドバイザーになるための資格や役立つ資格をご紹介しました。

現在の日本では、事業承継問題がとても増えています。

そのため、事業承継に関する専門家の需要は高まっていますが、その質の良し悪しは玉石混交といえます。事業承継に失敗することがないように良い事業承継アドバイザーが増えていって欲しいものです。

大事なのは、事業承継アドバイザーの資格を有していることで、事業承継に悩んでいる経営者が安心して相談できることです。もちろん法律や事業承継に関する知識は大前提として必要ですが、相談者からの信頼がなければ、理想とする事業承継の仕方を導き出すことはできません。相談者が少しでも安心して、そして納得のいく事業後継者の選定に携われるように事業承継アドバイザーの活躍が期待されています。

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