1. HOME
  2. ブログ
  3. コラム
  4. 事業承継を誰に相談すればいい? 誰を後継者にするかによって最適な相談窓口の専門家は異なる!

BLOG

ブログ

コラム

事業承継を誰に相談すればいい? 誰を後継者にするかによって最適な相談窓口の専門家は異なる!

事業承継は経営者にとって会社を次の世代に託す大きな課題です。事業承継を成功させるためには相談窓口である最適な専門家を選定することが重要になってきます。事業承継の相談先は年々増加していますが、事業承継の方法や会社の状況によって相談する専門家は異なりますので、事前に相談先の特徴を確認したうえで相談するようにしましょう。今回は事業承継を誰に相談したらいいのかを解説します。

事業承継の相談ができる専門家や機関

事業承継の相談ができる専門家や機関は以下の通りです。

税理士

1つ目は「税理士」です。

事業承継の相談では、自社の株式(自社株)の「相続対策」が大きな課題となります。なぜなら、社長の財産で最も高額なものは自社株であることが多いからです。
税理士は事業承継の大きな壁である税金の専門家であり、会社経営と密接な関係にあります。
特に顧問税理士がいる場合、会社の財務状況や経営状態を把握しており、事業承継後の新しい経営者へアドバイスも行うことができるため、スムーズな事業承継が行うことができます。そのため、事業承継相談を行う相手として最初に出てくる相談先といえるでしょう。
しかし、顧問税理士といっても事業承継について専門的な知識を持っているとは限りませんので、顧問税理士が事業承継に詳しくない場合は、事業承継専門のコンサルティング会社や公的機関などに相談しましょう。

会計士

2つ目は「会計士」です。

会計士も税理士と同じく会計と財務の専門家であり、事業承継の相談先として有力です。
特に公認会計士の場合、中堅・大規模法人会計に長けており、税理士資格を持っている人もいますので、事業承継に対する税金サポートの相談など、一定規模以上の会社であれば公認会計士に相談することがオススメです。

金融機関

3つ目は「金融機関」です。

取引先の金融機関で事業承継相談に対応している場合があり、中には専門窓口を設置している所もあります。また、事業承継を進めるにあたり一度は声をかける存在です。
ただし、金融機関によっては必要のない融資を前提とした事業承継プランを提案してくる場合があるので要注意です。

事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター

4つ目は「事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター」です。

事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センターは、中小企業庁が設置する公的な事業承継に関する相談機関です。公的な機関ですので、公平なアドバイスを受けることができ、しつこく営業されることもなく、基本的に相談料が無料です。ただし、登録機関の支援や士業の支援を受ける場合、報酬が発生するのでご注意ください。また、M&A仲介実績においては、民間のM&A仲介業者に劣ることも理解しておきましょう。

事業引継ぎ相談窓口

事業引継ぎ相談窓口は、全国47都道府県の各認定支援機関に設置されており、事業承継に関する情報提供や助言を受けることができます。

事業引継ぎ支援センター

事業引継ぎ支援センターは、北海道・宮城県・東京都・静岡県・愛知県・大阪府・福岡県の合計7ヵ所の認定支援機関に設置されています。より専門的な支援を受けることができ、中小企業庁は今後も準備が整い次第、設置場所を拡充していく方針を掲げています。

商工会議所

5つ目は「商工会議所」です。

商工会議所は各市町村に設置されており、様々な業種の会社をサポートしています。各商工会議所には地元の税理士や会計士、弁護士なども所属しているため、事業承継についての相談も可能です。
商工会議所に入会済みの場合、ほとんどのサービスを無料で受けることができます。未入会の場合も、年間数万円程度の会費を支払えば、さまざまなサービスを利用できるようになります。事業承継に関するセミナーなどを定期的に行っている所もありますので知、識をつけるために一度参加してみましょう。

弁護士

6つ目は「弁護士」です。

弁護士に事業承継を相談するのは特殊な場合に限られます。
たとえば、事業承継において紛争が発生する場合や、遺言書が必要な事業承継の場合です。
生前に円満な事業承継を行いたい場合は、会計や税法の知識がある税理士や会計士に相談することをオススメします。

コンサルティング会社

7つ目は「コンサルティング会社」です。

オーナーの親族に後継者が不在であり、後継者候補として見込める人材がいたとしても経営する意思や能力がないためM&Aにより事業を残したい場合、M&A専門のコンサルティング会社に相談すると専門的なサポートを受けることができます。

M&A(Merger And Acquisition:合併と買収)とは、会社もしくは経営権の取得という意味であり、主な手法として株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割があります。

M&Aは買い手の選定から条件交渉、従業員などへの説明、法務・税務の検証、そして契約書の作成など親族内の承継と比較して検討事項が多くあります。そのため、経験や実績のある会社でないと将来的に訴訟になったり、M&Aをしたものの従業員が大量に退職してしまう可能性がありますので、M&Aを検討する場合は実績の多い会社に相談しましょう。

誰を後継者にするかによって相談相手は異なる

事業承継において、早めに一人または複数人の候補者を見つけることが重要です。
誰を後継者にするかによって事業承継の手法やプランニング、相談する専門家が異なります。

親族内から選定

1つ目は「親族内から選定」の場合です。

子どもや妻などの親族が事業承継をすることを親族内承継といいます。この場合、税理士または会計士が最適な相談窓口です。
親族内承継では、後継者の「経営権(持ち株)の確保」が重要な相談事項となります。
会社の重要事項を決議できるよう、後継者は十分な株数を確保する必要があるからです。その場合、懸念される問題は以下の通りです。

・後継者に自社株をすべて渡したいが、株価が高く納税資金が準備できない
・納税猶予制度を使いたいが、他の相続人にはメリットがない
・納税資金のための策を講じると、経営面にはマイナスになる
・遺産分割を平等にしようとすると、後継者の経営権が危うくなる
・株式を後継者へ移転する時に「無償で贈与するのか」「売却するのか」によって課税される税金が異なる
・取引価格のない非上場株式の株価の計算は、会社の業績や配当の有無、財産の時価、類似した企業の業績などから算出されるため、会社の株価を引き下げる「株価対策」が必要
・株価対策には、役員退職金や記念配当、特別配当などの方法がある
・移転時期について会社の業績が一時的に悪化した際に一度に贈与するのか、または毎年少しずつ贈与していくなど、戦略的な株式の移転計画をたてる必要がある

上記を解決できる専門家が、非上場株式の株価を計算することができ、戦略的な株式の移転計画を行える「税理士」と「会計士」であり、親族内承継の場合に最適な相談専門家といえるでしょう。

親族外の役員・従業員や社外の人を招集して選定

2つ目は「親族外の役員・従業員や社外の人を招集して選定」の場合です。

後継者候補の役員・従業員や社外の人が優秀であり、会社の事業内容を十分に理解していたとしても、経営者と同じ視点で物事を考えられるまでには至っていない場合が多いです。

この場合、会社の財務状況や経営状態を把握している顧問税理士が最適な専門家といえるでしょう。
また、金融機関へ借入金がある場合は保証人変更手続きなどが必要なため、金融機関にも事前に相談しておきましょう。

M&Aなどによる第三者の承継を検討

3つ目は「M&Aなどによる第三者の承継を検討」の場合です。

後継者候補が見つからず、第三者へ株式を売却するM&Aを検討している場合は、M&Aに特化したコンサルティング会社が最適な相談窓口です。
M&Aコンサルティング会社では弁護士や税理士、会計士、社会保険労務士などの専門家が在籍している場合が多く、各専門家がそれぞれの分野を担当するため手続きがスムーズに進みます。
M&Aに特化したコンサルティング会社は、豊富なM&A経験によるノウハウを蓄積しているため心強い最適な専門家といえるでしょう。

事業承継に必要な資金調達の相談先

事業承継には、事業を再構築する費用や専門家へ支払うコンサルティング費用、株式の移転にかかる税金など多額の資金が必要です。
事業承継に資金調達が必要になった時の相談先は以下の通りです。

中小企業庁

1つ目が「中小企業庁」です。

中小企業庁は事業承継が円滑に行えるように事業承継資金の融資・保証制度を設けています。
各県に設置されている商工労働部や産業労働部から「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)に基づく認定を受けることで利用できます。

日本政策金融公庫

2つ目が「日本政策金融公庫」です。

日本政策金融公庫はM&Aの資金や株式の取得資金に利用でき、民間の金融機関の金利よりも低く設定された「事業承継・集約・活性化支援資金」を融資しています。

経営革新等支援機関の認定を受けている相談先

3つ目が「経営革新等支援機関の認定を受けている相談先」です。

国が設けた事業承継補助金や事業承継税制の利用には、承継計画を策定し、経営革新等支援機関からの承認を得る必要があります。
そのため、相談先が「経営革新等支援機関」の認定を受けているかどうかを確認しなければいけません。
商工会議所や金融機関、各士業など、国の認定を受けることで経営革新等支援機関に認定されます。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金(事業承継補助金)は以下の費用を補助する制度です。
・事業承継やM&Aを契機に経営革新等に挑戦する費用
・M&A支援業者に支払う手数料
・譲渡対象企業に対する事前調査にかかる専門家費用など

事業承継税制

事業承継税制とは、株式を後継者へ移転時に発生する贈与税や相続税の税負担を軽減し、事業承継をスムーズに行えるようにする制度です。

まとめ

事業承継を誰に相談したらいいのかについて解説してきました。以下、まとめになります。

・事業承継の方法や会社の状況によって相談する専門家は異なる
・事業承継を成功させるためには最適な専門家を選定することが重要
・事業承継には多額の資金が必要なので、資金調達時に相談できる窓口を把握しておく

事業承継に係る専門家は多くいますが、各専門家にはそれぞれ得意分野があり、事業承継の方法や会社状況によって相談するのに最適な専門家は異なります。事業承継を成功させるためには最適な専門家を事前把握・選定することが重要です。自社の事業承継時にどの専門家に相談したらいいのか迷わないように、誰に相談するのかを早めに考えておきましょう。

関連記事