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事業承継の番組とは? 番組を見てM&A事業承継の悪いイメージを払拭し、成功例・失敗例から学ぼう

2021年、企業の休廃業・解散は5万4,709件と前年比2.5%減でした。政府や民間の資金援助が抑制力となったようですが、倒産倍率は9.1倍と過去最高です。企業の休廃業・解散前年比率は減少しているのに、倒産倍率は増えている理由の一つが、黒字経営にも関わらず事業承継の後継者問題や老い先短い身で借金を増やせないという高齢経営者による「あきらめ休廃業」が増えつつあるからです。世の中にはたくさんのこうした問題のせいで廃業してしまう企業や個人経営のお店がありますが、ほとんどの人が知りません。事業承継という言葉自体、聞きなじみのない人は多いと思います。そのため、テレビでは様々な事業承継番組を行っています。今回は現代日本の中小企業と事業承継の番組について解説します。

2021年企業の休廃業・解散は5万4,709件

2021年の休廃業・解散企業(個人事業主を含む)は5万4,709件であり、前年から約1,400件(2.5%)減少と前年を下回る水準が続いています。都道府県別で最も多いのは「東京都」の1万2,123件で、全国で唯一1万件を超えています。
企業休廃業・解散前年比率は2年連続で減少し、コロナ前の2019年からは4,000件超の大幅減少となりましたが、減少率は大幅に縮小しています。

「休廃業・解散企業」とは、法的整理による倒産を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態の確認(休廃業)、もしくは商業登記等でみなし解散を除いた解散を確認した企業の総称です。

資金援助により抑制力にはなったが倒産倍率は過去最高

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言などの人流抑制政策により、観光業界、飲食店などのサービス産業が主に直撃を食らっていますが、以下のような資金調達環境を良好にすることで、B to C業界を中心に廃業へと傾きつつあった直近の資金繰り破たん回避による短期的な休廃業の抑制力となったようです。

・休業協力金をはじめとした給付金などのコロナ対応補助金
・政府による中小企業への迅速な実質無利子・無担保融資金供給策「ゼロゼロ融資」
・民間金融機関による活発な資金供給

しかし、「倒産」倍率は過去最も高い9.1倍に達するなど、依然として高水準での推移が続いています。2021年初頭では、3.76%の企業が休廃業・解散で市場から退出・消滅し、約8万人が転退職や離職を迫られました。

中小企業で「あきらめ休廃業」が増えつつある

コロナ禍の影響が強かった2020年以降、負債より資産の総額が上回る「資産超過」状態での休廃業の割合が高まり、2021年当期純利益56.2%と黒字であり、資産が負債を上回る状態で休廃業・解散となった企業は全体の62.0%と過去最高を記録しました。また、全体黒字かつ資産超過の状態で休廃業・解散した企業は全体の16.0%と、安定した事業継続が可能だった企業の休廃業が目立ちます。
このように、財務内容やキャッシュなどある程度の経営余力を残しているにもかかわらず、コロナ禍が長期化するなかで中長期的な事業の先行きを悲観し、自主的に会社を休廃業・解散を行う「あきらめ休廃業(資産超過状態での休廃業・解散)」割合がコロナ禍を境に高まりつつあります。

2022年は「駆け込み廃業」が増加する可能性がある

2022年は多くの企業がコロナ融資の返済がスタートします。企業は後継者問題や事業改革などビジネスモデルに課題を多く抱えたまま、先行きが不透明な状況で本業立て直しによる「収益改善」と「借入金の返済」というテーマに立ち向かわなければいけません。そのため、現状以上に借入金が増える可能性がある追加の金融支援を受けず、余力のあるうちに会社を畳む「駆け込み廃業」が2021年以上に増加する可能性があります。

あきらめ休廃業の原因

経営者の高齢化が進み、黒字経営にもかかわらず廃業してしまう「あきらめ休廃業」の原因として考えられる理由は以下の通りです。

・借り入れや保証融資を受けても負債返済への先行きが不安になり、デジタル対応も難しくて事業を続ける意欲が沸かず、倒産して従業員や取引先に迷惑をかける前に自主廃業した方がいいと思うから
・設備投資をしても、回収できる見込みがなく、これまで培ってきた技術やノウハウを承継する後継者が見つからなかったから

新型コロナは長期化するため、変化に対応するには投資が必要ですが、弱っている個人事業主を含む中小企業にはそれができず、このままだと倒産のリスクが出ると判断し、企業や店を畳んでしまうようです。
また、臨時休業のつもりが、後継者が見つからず事業継続をあきらめ、そのまま閉店になるケースも少なくありません。
まさに、コロナが「老い先短い身でこれ以上借金を増やせない」と悩む高齢化経営者達の休廃業・解散の背中を押したといえるでしょう。

次世代に引き継いでいく選択肢の一つであるM&A

金融機関からの融資を受けるハードルが高いため、あきらめ休廃業を選択してしまう企業には、IT(情報技術)投資などへの前向きな支援金や経営資源を次世代に引き継いでいく選択肢の一つであるM&A(合併・買収)が必要だと指摘されています。

M&A(Merger and Acquisitions)では、事業や会社の経営権を渡す側は「売り手企業(譲渡企業・買収対象企業・被買収企業とも)」と呼ばれ、買収する側は買い手企業と呼ばれます。
M&Aは基本的に売り手市場であり、売り手企業にとっては事業承継、買い手企業にとっては事業拡大のための手段でしかありません。
M&Aは、売り手企業側が「マッチングサイトに登録」「金融機関に仲介」「独自に買収可能性の高い企業のリストを作成し、優先順位の高い企業順でアプローチ」し、段階を経て買い手企業に経営統合されます。

M&Aによる事業承継を行うメリット

M&Aによる事業承継を行うメリットは以下の通りです。

・後継者問題解決
・社員の雇用保証(適切な会社が引き継いだ場合)
・経営者は個人保証や担保提供から解放された上で、役員などとして継続してかかわることが可能
・事業意欲旺盛な会社との協業により相互に発展し、託した企業の成長機会が増える

国によるM&Aの相談窓口は事業承継・引継ぎ支援センター

M&Aは民間企業や、法令に基づく認定機関として、全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」で相談することができます。
「事業承継・引継ぎ支援センター」は、主に親族への承継や後継者不在等により事業の継続に課題を抱える中小企業や個人事業主など小規模事業者に対して、事業承継とM&A支援(M&Aに精通した専門家の紹介や後継者探しサポートなど)をワンストップで行う体制を整備しています。

中小企業がM&Aを躊躇してしまう理由は以下の通りです。

・個人保証の存在
・承継後の経営統合や事業戦略の再構築にコストがかかる
・適切な相手が見つからないなど、マッチングの成立・承継後の経営統合が困難
・仲介手数料や仲介業者などのM&Aに係る情報が不十分
・事業承継そのものに対する情報の少なさ
・閉ざされた狭い世界でのやり取り
・成功例や体験談が広く知れ渡らない

M&A事業承継の成功例や体験談が広く知れ渡らないことと乗っ取られるという悪いイメージに高齢経営者は躊躇してしまいます。漠然とした不安が広がり、「M&Aは怖いのではないか」「乗っ取られるかもしれない」といった悪いイメージだけが先走るからです。

M&Aなどの第三者承継という事業承継は広がりつつありますが、高齢社長にこの仕組みが受け入れられているとは言いがたいのが現状です。
また、事業承継に関して何から準備したら良いかわからない、相談窓口がある事も知らない場合もあります。そのため、事業承継について知ってもらおうと情報をオープンにするためにTVメディアを使って、事業承継が本来持っている素晴らしさや成功例をありのままに届け、誤ったイメージの払拭をしたいと、様々な事業承継の番組が放送されています。以下、事業承継の番組を紹介していきます。

BS東テレK「タタムなんてもったいない!」

1つ目はBS東テレK「タタムなんてもったいない!」です。

この番組は、承継できた今だから語れる一時はタタもうとしていた事業への売り主の思い、買い主のチャレンジなど、悲喜こもごも・波瀾万丈の事業承継ドキュメンタリー番組です。さまざまな職種を引き継いだ承継者が直面した苦労、受け継いだものへの深い想いなどを見ることで、M&Aによる事業承継とはどんなものなのか、ビジネスの過酷でハートフルな舞台裏をリアルに知ることができます。

タイトル:タタムなんてもったいない!
放送日:2022年2月6日(日) 22時30分~23時00分
司会:加藤浩次
製作:ユニット・BSテレ東(この番組は、BSテレ東(2K)放送番組を4Kにアップコンバートして放送しています)

BSふじの「第五回社長・城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」

2つ目がBSふじの「第五回社長・城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」です。

タイトル:BSふじの「第五回社長・城島茂と学ぶ事業承継~その企業の熱意と決意~」
放送日:2022年2月13日(日) 14:00~14:30
ナビゲーター:城島茂(株式会社 TOKIO 社長)
製作:BSフジ

この番組は、株式会社TOKIO設立から半年、新米社長・城島茂が事業承継にかかわる中小企業の経営者と専門家を迎え、課題の解決策を学び、その企業の技術・伝統・家族や従業員の生活を守り、未来に繋げることを紹介する番組です。

地域活性化貢献や世界に誇れる技術を持つ日本の中小企業で深刻な問題となっているのが後継者不足であり、企業が持つ技術や考えを受け継いでいく「事業承継」が、日本の未来を救うための課題となっています。
事業承継にどう取り組んだらよいかイメージがわかないという方にオススメです。

まとめ

現在の日本の中小企業と事業承継の番組について解説しました。以下まとめになります。

・2020年コロナ禍を境に、資産が負債を上回る状態で自主的に休廃業・解散する「あきらめ休廃業」の割合が増えつつある
・M&Aは、第三者事業承継選択肢の一つであり、国や民間の相談窓口へ行き、M&Aに詳しい専門家を紹介してもらい、マッチングに登録する
・M&A事業承継の成功例や体験談、乗っ取られるわけではないことを広く世間に知ってもらうため、テレビで様々な事業承継の番組が放送されている

後継者不在や資金繰りのせいで事業承継が行えず、長年培ってきた技術やノウハウ、伝統などが廃業により消滅するのはもったいないです。また、中小企業は日本企業の9割を占めますので、次々と休廃業・解散してしまうと経済が成り立たなくなります。そのため、まずはテレビの事業承継番組などで実際の成功例や失敗例を見て検討し、相談窓口へ行って現状を相談し、M&Aのマッチングに登録しましょう。

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