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事業承継・M&A基礎知識

元々、M&Aは“身売り”という印象が強く、マイナスイメージに捉えられることもありましたが、今日では合理的なビジネス手法として取り入れられています。

M&Aにより経営者の若返りも進み、事業の見直しの効果により経常利益が回復するなど、プラス面に働くようになりました。

今回は事業承継におけるM&Aの基本と進め方について紹介していきます。

M&Aとは

M&A(Mergers And Acquisitions)は、一般的に企業の合併・買収を指す言葉として使用されていますが、広義では、企業の競争力強化や新規事業の多角化といった業務提携を含む企業戦略全般を指して使われることもあります。

提携関係のある複数企業間での株式移動を資本提携といい、販売協力・資材調達・共同研究等の業務上の協力関係を築くことを業務提携と言います。

この二つを組み合わせたものを資本業務提携といいます。

M&Aが多く使われる理由

経営者の高齢化が進み、業績が好調であるにもかかわらず、後継者がいない場合や今後の成長戦略を描くことができないなどの悩みを抱える中小企業が増えています。

これに救いの手を差し伸べたのがM&Aによる事業継承の方法です。

M&Aを行い、企業を信頼のおける他企業に譲渡することで、その企業がこれまで培ってきた技術やノウハウを途絶えさせることなく存続させていくことが出来ます。

しかし、M&Aを行う数は増えているものの、なかなか踏み出すことのできない経営者も多く存在するのも事実です。

少しでもM&Aのことを理解することで、積極的に取り入れるのが望ましいです。

M&Aのメリット1.後継者問題の解決

売却を考えている経営者の一番の悩みは後継者がいないことです。また、親族や後継者がいても事業承継に伴う税負担やコストによって承継が困難な場合もあります。

このような問題を抱えている場合、M&Aならば上場企業や大手の企業に任せることが出来るので、事業の存続・発展を期待することが出来ます。

M&Aのメリット2.時間というコストを買える

買い手側の一番のメリットは、事業成長にかかる時間を買えることです。

新規事業の開始や市場の拡大を目指す場合、ゼロから事業をスタートさせると成長までに多大な時間とコストが掛かってしまいます。M&Aにより欲しい技術や人材を持つ企業を買収することで、時間とコストを抑えながら自社の事業を一気に成長させることが可能になります。

M&Aの手法

M&Aには、資本の移動や参加を伴う資本提携、資本の移動を伴わない業務提携の2つに大きく分けられます。前者の「資本提携」をM&Aと定義します。

M&Aは、さらに「合併」「買収」「合弁会社設立」「資本参加」の4つに分かれています。

それぞれみていきましょう。

【資本業務提携】

資本提携と業務提携の2つの組み合わせのこと。

業務提携に伴い、相手会社に増資・株式の一部譲渡を行うことで、提携先に対して議決権を与える手法です。資本提携を行うことで、業務提携という契約のみの関係をより強固にすることが出来ます。また、資本提携を行う際は、内容を明確にするために、業務提携契約を交わすことが基本です。

【業務提携】

業務提携では、資本の移動は行いません。複数の企業が協力して事業を行うことで、資金・技術・人材の経営資源の相乗効果を得ることにより、事業競争力の強化を図ります。

内容としては、新規事業への進出、技術力向上・補充・開発、生産力の強化、販売力の強化を目的にしていきます。業務提携は性質上、「技術提携」「生産提携」「販売提携」「その他」に分類されます。

【合併】

合併は、複数の会社を1つの会社に統合する手法です。権利義務すべてを譲渡して消滅する「吸収合併」と新規に会社を設立し、そこに権利義務を承継させる「新設合併」があります。

【買収】

買収は、「株式譲渡」「第三者割当増資」「株式交換」「株式移転」「事業譲渡」などの手法があります。

株式譲渡はM&Aの中でも中小企業においてよく用いられます。

株主が保有する株式を譲渡することで金銭を手に入れ、事業を承継することが出来ます。

第三者割当増資は、対象会社が第三者に対して新株を割り当てることで増資を行う手法です。

株式交換は、完全子会社の発行済株式をすべて完全親会社に取得させます。

発行済株式のすべてを移転させることを株式移転、会社の事業の一部もしくは全部を譲渡する事業譲渡があります。

【合弁会社設立】

複数の企業が資本を出し合い、合弁で会社を立ち上げます。

【資本参加】

対象の会社に増資若しくは株式を譲り受けることで、限られた議決権で経営に参画します。

M&Aの流れ

【検討・準備】

M&Aを検討する場合、初めに行うのは、自社の株式価値の把握です。

買い手の評価で売却金額は変わりますが、純資産法・収益還元法・類似会社比準法に基づく価値に近いので、ここから推測しましょう。

【打診・交渉】

次に売却先候補の選定を行います。大手ではオープンな進行をし、中小企業では、事業活動への影響を考慮して、クローズドな環境で進めることが大半です。

広く選定すると情報漏洩のリスクを抱えてしまうので、ある程度数を絞って選定するようにしましょう。

関心を示した買い手が見つかった場合、面談や資料開示などを複数回行い、譲渡金額、譲渡スケジュールなどの正式な決定を書面に起こします。この際に、両者合意すればそのまま基本合意契約を締結します。

【最終契約】

買収監査(ビジネス・法務・会計・税務の調査)の後、引継ぎ期間やその他条件を契約書にしていきます。お互いが合意し、契約を結んだらM&A取引は終了します。

専門家のサポート

M&Aは法務・税務の知識だけでなく、交渉術や企業分析能力など様々な能力を必要とします。これをすべて一人でこなすのは困難を伴うでしょう。

M&A取引を考える際には、かならず専門家に相談しましょう。

M&Aアドバイザーの資格を有している専門家にアドバイスを受けることができれば、より時間を有効に使うことが出来ます。

もちろん依頼には費用は掛かってしまいますが、専門家を通さずに行うとトラブルの元になってしまいます。着手金や成功報酬、株価算定費用など、費用面でのことも検討しておきましょう。

M&Aの専門家を選ぶ方法と注意点

売手・買手の両方が納得のいくM&Aを行うには、専門家による仲介が効果的です。

M&Aのやり方を熟知している企業なら問題はありませんが、多くの企業にとってはあまり経験のないことです。どのようにしていけばリスクは低く、大きな利益を上げることが出来るのかを考慮することが重要です。目的や希望などを最大限に活かしてくれるのがM&Aの専門家です。

専門家に仲介してもらうメリットは多々あります。

基本的には、依頼主が不利にならないように立ち回り、少しでも有利な条件になるように働きかけてくれます。

相手が企業の相場に合わない条件金額を提示してきても、経験豊富な専門家ならば反対してくれ、代替案を提示してくれます。

また、経験が豊富な専門家であればあるほどコネクションが豊富で、細かい条件提示にも対応してくれることでしょう。速やかに該当企業と引き合わせてくれます。

M&A専門家の職種

【仲介会社】

M&Aを専門に仲介を行っています。昨今では、この仲介会社がマッチングサイトを運営し、売り手と買い手に交渉しやすい環境整備やサポート体制を整えています。

大手有名企業はもちろん中小企業にも高い対応力を有しており、幅広い層にマッチしています。

【金融機関】

大手の金融機関では、M&A専門の部署を設置し、経営者のサポートをしています。

もちろん大手金融機関以外でも、M&Aの支援は積極的に行っています。

特徴としては、該当金融機関と取引のある企業には、優先的に紹介してくれます。

相談する金融機関によっては、希望の条件に合う企業が全くヒットしない場合もあります。地元金融機関に関しては、地元に深く根付いているため、地元で企業検索をするのであれば相談してみるのもいいかと思います。

【税理士・会計士】

M&Aでは、会社の財務状況や業績を確認・分析するため、会計、税務のプロフェッショナルである税理士や会計士はとても頼りになります。

難易度の高い国家試験を受け、資格を有しているため、M&A経験の豊富な税理士・会計士であれば大きな助けとなるでしょう。

専門家を選定するポイント

M&Aの専門家を選ぶにあたって必要なのは、費用・手法・サポート対応の3つです。

それぞれみていきましょう。

【費用】

M&Aにかかる費用はとても高額です。専門家の種類、方法によって料金は大きく変わってきますので、よく検討しましょう。

  1. 着手金

これは、初回契約時に発生します。

着手金ですので、成功の可否に関係なく支払います。100万円~300万円程度です。

なお、着手金無料で行ってくれる場合もあります。

2.月額支払い

こちらも初回仲介契約後から毎月発生します。一定の金額を支払います。100万円~200万円程度、専門家によって無料サービスもあります。

3.中間報酬

仲介契約後からM&A成約の間で決められた期間に支払います。50万円~200万円程度。

初回の着手金の際に1割程度支払う場合もあります。

4.成功報酬

M&Aが成約完了した場合に支払います。

原則として、移動した資産の金額に対して一定の割合で計算し、支払います。

【手法】

M&Aの手法は上記で説明しましたが、どれを選ぶのかは、経営者のニーズによって違います。専門家に相談の上、自社にどの手法があてはまり、最大限に利益を得ることが出来るのかを決めていきます。ここを適当に決めてしまうと余計な時間をかけてしまうので、迅速に進めていくためにもしっかりと検討しましょう。

【サポート】

M&Aは成約したらそれで終わりではありません。その後の事業を進めていく上でも相談できることはしたいものです。

アフターフォローが丁寧且つしっかりと行ってくれる専門家を選びましょう。

まとめ

以上、事業承継におけるM&Aの基本的な知識と進め方を紹介しました。

事業承継をお考えの場合、この記事を参考に検討してみてください。

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